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オークモスアブソリュート [oakmoss absolute]
オーク(樫の木)に着生するサルオガセ科のツノマタゴケ[Evernia prunastri(L.)Arch.]を、石油エーテルなどの炭化水素系溶剤で抽出して得たオークモスコンクリートを、さらにエタノールで抽出して得られた暗緑色の精油.オークモスは、中央および南欧、とくにユーゴスラビア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、モロッコなどがおもな産地である.この精油のおもな香気成分はエベルニン酸とその類縁化合物で、分子量が高く、高沸点化合物であるため、その香気は持続性や保留性に富んでいる.森林や海辺をイメージさせるようなグリーンな感じと、土くささをあわせもったモッシーノートであり、シプレー調やフゼア調の調合香料には欠かすことのできないもので、配合された香料に骨格と天然らしさ、さらにベースノートにコクと持続性を与える.最近では、オークモスアブソリュートカラレスという、色がより薄く使いやすいものが研究開発されており、需要を伸ばしている.オークモスアブソリュートと同様の香気をもつものに、トリーモスアブソリュートがある.これはマツ科の樹木に着生するトリーモス[Evernia furfuracea(L.)Mann. やUsnea barbata(L.)Wigg.]から得られる.香気はオークモスに比べるとトップノートがやや荒く、品質として少し劣る.(中村充志)