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架橋 [crosslinking]
タンパク質などの生体成分が、時間経過とともに自然に、あるいは酵素反応などを介して共有結合して結びつくことをいう.たとえば、コラーゲン分子が規則正しく集まって線維を形成するとき、リジルオキシダーゼという酵素によって分子内の三本鎖間や分子間に架橋が起こり、コラーゲン線維の安定維持がはかられる.また、エラスチン分子間にもリジン残基の酸化による架橋結合が見られる.とくに、デスモシン、イソデスモシンは、リジルオキシダーゼの作用により4分子のリジンが反応してできるアミノ酸で、この架橋構造によりエラスチン線維(弾性線維)の三次元構造が形成される.これらは生理機能をもつために必要なものである.酵素の絡まない架橋形成としては、紫外線でタンパク質の酸化反応が進み分子間に起こる場合があげられる.また、メイラード反応で知られるグルコース(ブドウ糖)などの糖化反応から一連の化学反応により形成される架橋がある(図).この反応は時間的に長くかかり、その最終産物はAGEs(advanced glycation end products)とよばれ、コラーゲン、エラスチンなどの半減期の長いタンパク質に形成される.そのため、老化架橋ともよばれ、皮膚の機能低下に関与していると考えられている.(西山敏夫)