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コラゲナーゼ [collagenase]
コラーゲンを切断する分解酵素のこと.動物性コラゲナーゼと細菌性コラゲナーゼの二つに大きく分けられる.動物性コラゲナーゼは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とよばれる酵素群の一つ.狭義には、I型、II型、III型およびVII型コラーゲンを分解するMMP-1(間質コラゲナーゼ)のみをさす.広義には、I型、II型およびIII型コラーゲンを分解するMMP-1、MMP-8およびMMP-13、IV型、V型およびVII型コラーゲンやゼラチン、エラスチンを分解するMMP-2(ゼラチナーゼA、72 kDaゼラチナーゼ)やMMP-9(ゼラチナーゼB、92 kDaゼラチナーゼ)などを含む(→ゼラチナーゼ).皮膚では、ケラチノサイト(表皮角化細胞)、線維芽細胞および好中球などにより、すべての酵素が前駆体の形で産生され、ほかのMMPやプラスミンなどにより活性化されてはじめて酵素活性を有する.動物性コラゲナーゼは、発生、分化、器官形成、血管新生、炎症、がんの湿潤転移などで重要な役割を担う.一方、細菌性コラゲナーゼは、嫌気性病原菌(Clostridium histolyticum)が産生する菌体外酵素で、コラーゲンタンパク質の−Pro−X−Y−Pro−(Proはプロリン、Xは任意のアミノ酸、Yは主としてグリシン)の部分を認識して、X−Y間を切断する.(圷信子)