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細胞毒性試験 [cytotoxicity test]
いろいろな細胞を培養してそこに化学物質を適用し、物質のもつ刺激性すなわち毒性を、細胞の生死や障害度により評価する方法.現在使用されている代表的な細胞は、SIRC(ウサギ角膜由来細胞)、HeLa(ヒト子宮頸部由来上皮がん細胞株細胞)、CHL(チャイニーズ・ハムスター肺由来線維芽細胞)などである.また、これらの細胞の生死を判定し毒性を評価する方法としては、クリスタル・バイオレット染色試験、ニュートラル・レッド取り込み試験、MTT法などがある.いずれも、生きている細胞が色素を取り込むことを利用し、色素の量を吸光度計で測定することによって、細胞の障害の程度を評価するものである.この試験法は、多数のサンプルを同時に評価でき、再現性もよいという長所がある反面、細胞を培養するさいの培地に溶解しない物質(不溶性物質など)は評価できない、あるいは評価がばらつくという短所がある.また実験操作の面でも、細胞を無菌的に培養して用いなければならない点がやや煩雑である.このような点から、最近では無菌培養の操作を省き、だれにでも簡単に試験が行えるようにつくられたキットも市販されている.メーカーによって多少の違いはあるが、一般にはヒト由来の線維芽細胞が三次元構造で培養されており、これにはケラチノサイト(表皮角化細胞)、角層細胞を有しているものもあって、ヒトの皮膚構造により近いものとなっている.しかし、これらのキットは幅広い範囲の化学物質に適用できる利点があるが、細胞を培養する方法と比べると全体的にやや高価である.(鈴木惠子)