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女子顔面黒皮症 [melanosis faciei feminae]
色素異常症の一つ.色素沈着型接触皮膚炎ともいう.化粧品による皮膚障害の中では数は少ないが、色素沈着がかなり目立ち、また治癒するまでに長期間かかるため、もっとも患者を悩ませる皮膚疾患であるといえる.症状はかゆみ、紅斑、腫脹(はれ)などがまず現れるが、炎症の程度は比較的軽いため、そのまま放置される例も多い.その後には、こめかみ、頬、頸部などに紫褐色あるいは黒褐色の網目状色素沈着を起こす.患者は40歳代の女性に多く、次いで30歳代、50歳代である.まれに男性にも同じような症状が認められることがある.化粧品が原因と考えられる場合には、患者が使用していた製品および成分のヒトによる使用試験を実施して、その原因物質を調べるのがもっとも有効である.しかし、この試験によってすべての成分を調べるのは不可能に近いので、その代用としてパッチテストが一般に行われている.パッチテストで陽性を認めた製品、あるいはその成分を含む製品の使用を中止すれば、2〜3年以内にはかなり症状が軽減する.なお、現在では原因とされる成分の使用を化粧品メーカーが自粛するようになったため、この疾患はほとんど見られなくなっている.(→黒皮症)(鈴木惠子)