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水溶性高分子 [water soluble polymer]

分子量が大きく、水に溶ける性質をもつ分子.水に溶解すると分子のまわりに多くの水を包含したヒドロゲルを形成するため水溶液の粘度を著しく増大させる効果をもつ.従来、天然高分子がおもに使用されてきたが、供給性、品質安定性、微生物汚染などの観点から、最近では半合成高分子や合成高分子が用いられ、その中でも合成高分子の占める割合が大きくなってきている(表).
機能
(1)増粘・ゲル化
水溶性高分子の配合目的の一つは、製品を使用しやすい粘度に設定し、製品系の安定化をはかるための粘度調整である.おもに合成高分子のカルボキシビニルポリマーや半合成高分子のカルボキシメチルセルロースなどが使用され、乳液やリキッドファンデーションなどの基剤の粘度を増し、乳化粒子や粉末の分離を防止する作用がある上、夏も冬も使用感を同じレベルに保つ働きもある.これらの増粘性高分子は、製品を使用するときの感触に大きく影響を与えるため、各使用目的に応じて種々のものが用いられている.
(2)乳化・分散安定化
スキンケアやメークアップなどに使用される基剤は粘度が低いため、系中に存在する乳化粒子や顔料の分散粒子が分離しやすい.水溶性高分子には、これらの乳化粒子間、顔料分散粒子間をつなぎ、全体に構造をつくって系の安定化をはかる働きをもつものがある.乳化系では油/水界面に吸着し、油滴の合一を防ぐ吸着層を形成して油滴を保護し、乳化系を安定させる.また分散系では、顔料などのコロイド粒子の表面に吸着して粒子を包み込むことにより分散力を示すことが知られている.こうした乳化力や分散力をもつものとして、合成高分子のカルボキシビニルポリマーや天然高分子のクインスシードガム、キサンタンガムなどが用いられている.
(3)泡安定化
シャンプーなどの洗浄剤は、使用中にシャンプーが顔面に垂れ落ちないで頭部にとどまり、豊富な泡で頭髪を包み込むことにより洗浄力が十分に発揮される.そのためには、泡の豊富な粘着性と安定でち密な泡立ちが必要となる.この目的には、普通陰イオン性界面活性剤に加えて、低分子量の非イオン性界面活性剤(アルキルジエタノールアミド、アルキルアミンオキシドなど)が使用される.水溶性高分子もこのような泡安定化効果を示すことが知られており、洗顔クリームやシャンプー、ボディシャンプーなどの洗浄剤に配合すると、泡全体をつぶれにくくして洗浄効果を高める働きをもち、増泡効果を示す場合もある.半合成高分子でコンディショニング効果のあるカチオン化セルロースやカルボキシメチルセルロースなどが、この目的で製品に配合されている.(小出倫正)

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