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スリミング剤 [slimming product]
からだに働きかけ、目的とする部位のサイズを小さくする効果をもつ製剤.痩身用化粧品ともいう.スリミング剤はボディに使用し、使用後衣服を着用することから、顔用化粧品に比べてべたつかない使用性のものが求められる.このため剤形としてはローション、エッセンス、ジェルが主流であるが、最近ではより手軽に使用でき、しかも気になる部位を集中的にケアできるシート製剤も増加しつつある.使用目的は、食べ過ぎや運動不足、加齢により増大した皮下脂肪の減量にある.スリミング効果を高めるため、ダイエットサプリメントを同一ブランドに配置したり、積極的に運動を推奨するなどの工夫がなされている.
しくみと効果
脂肪細胞中に中性脂肪(トリグリセリド)として蓄えられた脂肪は、リパーゼとよばれる酵素により脂肪酸とグリセリンに分解される.よって、リパーゼの活性を高めることが脂肪分解のためには有効と考えられ、スリミング剤にはこの働きが付与されている.具体的には、カフェイン、テオフィリンあるいは海藻エキスなどのリパーゼ活性促進薬剤を配合したり、リパーゼがノルアドレナリンとよばれるホルモンの刺激を受けて活性化する(ホルモン感受性)ことから、ノルアドレナリンの分泌を高めるようグレープフルーツの香りが利用されている.分解された脂肪酸は血液中に送り出され筋肉運動により消費(燃焼)されるが、消費されなかった脂肪酸はふたたび脂肪として蓄積(再合成)されてしまう.その対策として燃焼効率を高めたり、再合成の抑制について対応がはかられた製品も最近見られるようになった.こうしたスリミング剤の使用による皮下脂肪の減量は、サイズダウンの効果とともに、皮下脂肪の増量で生じた皮膚のたるみやセルライト(大腿部や臀部の皮膚表面がオレンジの皮のように凸凹となる皮膚症状で蜂巣炎ともいう)の防止にも役立つと考えられる.また、メントールやエタノールの配合により清涼感を与え、即効的な引き締め感を付与する製剤や皮膜剤の配合によるはり感の付与といったファーミング効果を訴求する商品も多い.(田端勇仁、松崎文昭)