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セタノール [cetanol]
セチルアルコール、1-ヘキサデカノールともいう.天然にはクジラの脂質の主成分中に存在する.CH3(CH2)14CH2OH.工業的にはやし油の金属ナトリウム還元か高圧水素還元をし、減圧分留して得られる.市販品は純度の高いものと、セタノール以外の成分も含んだセトステアリルアルコールがある.白色の薄片、粒または塊状のろう様物質で、わずかに特異な臭いがある.純品は沸点320℃、比重(20℃)0.8375、屈折率(20℃)1.4502.水に不溶、メタノール、エタノール、ベンゼン、エーテル、クロロホルム、トルエン、アセトンに可溶である.
セタノール自体に乳化力はないが、乳化物の乳化安定助剤*としては優れており、水中油(o/w)型、油中水(w/o)型いずれの乳化物にも有効である.また、皮膚を柔軟にする性質があるので、各種クリーム、乳液に用いられ、陽イオン性界面活性剤とセタノールでゲルをつくることでリンスに広く用いられている.口紅では融点、延着力調整に用いられており、そのほか医薬用軟膏などにも使用されている.セタノールおよびステアリルアルコールの混合物の部分硫化物は、自己乳化型ワックスとしてクリームや軟膏などの原料として広く使用されている.(西田勇一)