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アンモニア [ammonia]

分子式NH3、分子量17.03、沸点−33.35℃の物質で、刺激性の強い臭いをもつ.水に溶けてアルカリ性のアンモニア水となる.アンモニア水はパーマネント・ウェーブ剤、ヘアカラー剤*や脱色剤のアルカリ剤として使用される.アンモニア水はパーマ剤1液にアルカリ剤として使用される.アンモニアは毛髪を膨潤させ薬剤が毛髪中に浸透されやすくすると同時に、チオグリコール酸塩(アンモニウム塩やモノエタノールアミン塩)の−SH基を−S−基に解離させ毛髪中のシスチン結合との反応を速める作用があり、強いウェーブ力を与えたり1液の施術を短時間(10〜20分ぐらい)にすませるために重要な役割を担っている.ヘアカラー剤や脱色剤1液中にもアンモニア水は使用される.パーマ剤と同様に薬剤を毛髪中に浸透しやすくし、また2液中に配合してある過酸化水素水の酸化機能を高めて毛髪の色素(メラニン)を酸化分解させ脱色させると同時に、ヘアカラー1液中の色素前駆体を重合発色させるなど染色機能上も重要な役割を担っている.アンモニア水は揮散しやすく強い刺激臭があるため、パーマネント・ウェーブのパーマ臭の原因にもなっているが、強いウェーブ力をもたせたり、脱色剤やヘアカラー剤の強い脱色効果を与えるのには必要で欠かせない原料である.また、アンモニアは揮散するので、パーマやカラー施術後の毛髪をアルカリ性にとどめることがなく、毛髪のダメージの点からも好ましいアルカリ剤と思われる.パーマネント・ウェーブ剤やヘアカラー剤、脱色剤の効果を満足させ、かつアンモニアの刺激臭を和らげる方法として、無臭のモノエタノールアミン(NH2CH2CH2OH)や、臭いの少ない炭酸アンモニウム[(NH4)2CO3]や炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)を混ぜて使用することが多い.(久保早苗)

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