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パーマ臭 [perm odor]
パーマネント・ウェーブ剤(パーマ剤)施術時やパーマ施術後に髪に残る不快な臭いのことであり、悪臭の原因となる物質は、アンモニア(NH3)や硫黄系の成分である硫化水素(H2S)およびメチルメルカプタン(CH3SH)である.パーマ剤1液中にはチオグリコール酸やシステインなどの還元剤が配合されており、これらの還元剤が毛髪中のSS結合(ジスルフィド結合)と反応しシステイン残基を生成する.しかし、このシステイン残基は不安定なため、一部分はH2Sを発生させる(図).硫化水素は腐った卵臭を放つが非常に軽く空気中にすばやく拡散する.CH3SHの発生量はH2Sより少ないが、その由来はわかっていない.腐ったタマネギ臭で空気中への拡散は遅い.NH3は1液中にアルカリ剤として使用されるアンモニア水から揮散されるものであり、拡散が速く刺激的な臭いを放つ.これらのパーマ臭を除去することはいまのところ困難であり、1液中の香料のマスキングにより臭いを感じさせにくくさせているのが現状である.これらの1液施術中に感じるパーマ臭は1液施術後の水洗(中間水洗)や2液の施術によってほとんどなくなるが、パーマ施術後に自宅の浴槽などでわずかに感じることもある.とくにロングヘアの場合、2液の放置時間が不十分であると毛先の部分にパーマ臭を感じることがまれにある.(久保早苗)