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タンパク質変性 [denaturation of protein]
実際の洗浄のさいに皮膚や毛髪を構成しているタンパク質の変性をいう.その度合いを示すのがタンパク質変性率である.洗浄用化粧品(シャンプー、ボディシャンプー、洗顔料など)は生体を構成する主たる成分であるタンパク質への影響をできるだけ小さく、いわばマイルドであることが求められ、洗浄用化粧品の場合、タンパク質変性はマイルド性を示す指標の一つである.皮膚の最外層にある角層はケラチンとよばれる線維タンパク質であり、毛髪においてもまた最外層のキューティクル層はケラチンが主要タンパク質である.角層やキューティクル層は生体に大切なバリア機能や保湿機能として働いていることから、洗浄用化粧品ではタンパク質変性を起こさないように努めることは重要である.タンパク質変性を起こす要因の一つに、洗浄剤のタンパク質への吸着性がある.タンパク質変性が起きるには、洗浄剤が対象となるタンパク質に吸着することから始まるためである.吸着性の測定は、洗浄後に実際にヒトの肌から直接洗浄剤を抽出することでも可能だが、より定量性を高めるためにケラチンタンパク質への吸着性を測定する方法がある.タンパク質変性を見るためには卵白アルブミンやヒト血清アルブミンを用い、各種洗浄剤による変性率を測定する方法がある.これらの変性の度合はタンパク質がもつ特異的な吸光度の適用前後の差を測定することにより得られる.ほかにもタンパク質の高次構造の乱れを測定する方法や酵素タンパク質を用い酵素活性阻害率を指標に行う方法などがある.(圷隆宏)