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天然色素 [natural color、 natural dye]
動植物または微生物から抽出される有色の有機化合物.天然染料と天然顔料とに分けられるが、天然染料は色落ちしやすく合成品に置き換えられたりしたため、現在はあまり使われていない.一般に天然色素は、有機合成色素(タール色素)に比べて着色力に劣り色落ちしやすい、耐光性、耐熱性、耐薬品性(pH、金属イオン)に劣るために変色しやすい、高純度のものが少ない、共存成分による異味異臭を有するものがあるなどの欠点がある.そのうえ、高価で原料供給も不安定なため、あまり多くの実績はない.しかし、天然色素には昔から食用にしていたものも多く、安全性が高く、色調が隠やかで、栄養(ビタミン効果)や薬理効果を兼ね備えたものもあるため、近年の天然物志向への風潮とあいまって、化粧品全般の着色剤としても見直されつつある.代表的なものには、カロテノイド系β-カロテン、ベニバナから抽出されるフラボノイド系のカルサミン、キノン系のコチニールなどがある(表).(小出倫正)