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界面活性剤 [surfactant、 surface active agent]
分子内に親水性の部分と親油性の部分をあわせもつ両親媒性分子で、表面や界面に吸着、配向して界面張力(界面自由エネルギー)を著しく低下させる物質のことで、その親水基の種類(イオン性)により、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤に分類される(図1).界面活性剤を水に溶解させていくと、一つ一つの分子がばらばらに溶解するほか、容器の壁や空気へ親油基を向けて並んでいく.これを配向というが、濃度の増加とともに界面張力が低下していく.界面活性剤の濃度がある特定の濃度に達すると、界面活性剤分子は親油基どうしを内側に向けた会合体(ミセル)を形成する.ミセルが形成される濃度は、臨界ミセル濃度(cmc)とよばれ、cmc以上の濃度になると界面活性剤の独特の性能である乳化、可溶化、分散、湿潤、洗浄、起泡力などが生じる(図2).通常、ミセルは数十?百数十分子の会合体であり、濃度を増していくとミセルの数が増していく.界面活性剤の化粧品における用途は広く、上述の基本的用途のほかに、帯電防止、殺菌、粉体表面処理、染料固着などにも応用されている.また、従来は少量で界面の性質を著しく変化させる添加剤としての用途がおもであったが、近年は両親媒性に基づく自己組織性を利用して、液晶やゲル生成による保湿、リポソーム化による浸透促進など、機能性素材の基剤として応用されることも多くなっている.(鈴木敏幸)