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ハンドケア [hand care]
手荒れの予防や改善および手荒れ以外のスキンケアをさす.手荒れは一度発生すると皮膚炎を生じやすくまん延化する傾向にあるため、予防あるいは早期対処が重要である.対処法手袋で手荒れ部分を保護することと、手荒れ対応製剤の利用が考えられる.手袋を利用するさいには、ゴム製のものは、直接使用するとゴム成分によるアレルギー性接触皮膚炎を起こす場合があるため、木綿の手袋をまず使用し、その上にゴム製を重ねることが好ましい.しかし、手袋は保護効果が高いものの常時着用することは難しい.そのため手荒れ対応製剤の利用が一般的である.現在市販されている手荒れ予防・改善製品は医薬品、医薬部外品、化粧品とさまざまであるが、機能としては角層の水分補給、角層バリア機能の強化、抗炎症などがあげられ、それらの機能にそれぞれ対応すべく保湿剤、ビタミン、抗炎症剤などの成分が配合されている.また、手荒れ予防・改善製品は保湿剤として尿素を配合していることが多いが、これは尿素の角層水分保持作用、角層溶解作用が手足の乾燥や角層肥厚に対して効果的なためである.しかしながら、亀裂を生じた部位に使用するとひりひりしたり、かゆみなどを生じる場合がある.亀裂あるいはびらんを伴う場合には皮膚科医による治療を受けるとともに、刺激性の少ない(尿素配合量の少ない製剤あるいはヒアルロン酸やヘパリン類似物質などを配合した製剤)製品を選択して使用することが好ましい.さらに、抗炎症に対する薬剤としてビタミンEやグリチルリチン酸の配合が一般的である.古来より白魚のような手指が美しい手とされてきたが、一方で手指は気づかないうちに傷ついたり、日に焼けてしまう無防備な部位であるため、美しい手指を維持するためには、顔同様に日ごろからケアをしておくことが重要である.(松崎文昭)