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ホメオスタシス [homeostasis]

さまざまな環境下でも意識することなく、つねにからだの内部環境を快適な、一定した状態に保つ、人に備わった働きのこと.人の体温は厳寒の地にあっても、また常夏の地においても±0.5℃内の変動にとどまっている.このような体温調節機能のほかにも、心拍や血圧、血糖値のような体内の化学成分濃度、胃の中のpHなども一定の範囲に保つような働きがあり、これをホメオスタシス、あるいは恒常性維持機能という.ホメオは“同じ”、スタシスは“一定の状態”を表し、これは1929年に米国の生理学者キャノンによって命名された.ホメオスタシスは精神神経系内分泌系免疫系の協同関係でなりたっている.従来、神経系、内分泌系、免疫系は別々の系として扱われていたが、最近ではそれぞれの系の情報伝達を行う神経伝達物質、ホルモンサイトカインが共通の物質であり、そのレセプターも共通していることが明らかになってきた.このことは三つの系が互いに情報交換しながら一つのシステムとして機能を担っていることを示している.そのコントロールは視床下部とよばれる脳の一部が行っている.視床下部は自律神経系と内分泌系の中枢であり、その上位には、本能、情動の脳である大脳辺縁系がある.恒常性維持系はこの大脳辺縁系を介して大脳新皮質による精神活動の影響を受けている.“病は気から”といわれることについては、精神状態がこのような神経経路を通してホメオスタシスの調整に影響を与えているためと解釈できる.(奥田剛弘、土屋徹)

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