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概日リズム [circadian rhythm]
外部の温度が一定で明暗の交代がないような恒常環境下で、生物機能が約24時間周期で変わるリズム性のある変動のこと.サーカディアンリズムともいう.たとえば、人の体温は明け方にもっとも低く、日中に上昇して午後から夜にかけてピークを迎えてふたたび下降し、睡眠中も下がりつづけるというリズムをもっている.体温の下降期に就寝し、上昇期に起床しているというわけで、あたかも体温の変化と睡眠が連動しているようなリズムを示している.測定が容易なこともあって150年以上前から知られているが、この概日リズムは皮膚状態の変化でも見られる.たとえば、皮脂分泌のもっとも活発な時間は午後1時で明け方4時はもっとも少ないこと、経表皮水分蒸散量は夜?夜中に最大になり午前?昼に最小になること、皮表pHは午後(2時?4時)に最大になり夕方に最小になること、角層の透過性は夜中(午前4時ぐらい)に最大になり午後に最小になることなどが報告されている.最近では、日常生活条件下で皮膚のバリア機能(→角層バリア)が破壊された後の回復が、昼から夜にかけて遅延し、夜中には早まること、つまり、皮膚は夜中に再生しやすいということが報告されている.以上のことから、日常生活の中では1日の時刻によって皮膚の状態が異なるということがわかる.(江川麻里子)