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サンバーンセル [sunburn cell]

紫外線照射により傷害を受けたケラチノサイト(表皮角化細胞)が細胞死した状態のこと.日焼け細胞ともいう.組織をヘマトキシリン-エオシン染色するとエオシンに染まる細胞質とヘマトキシリンに染まる凝縮した核をもつ細胞として観察される.サンバーンセルはUVB照射数時間後より現れはじめ、24〜48時間後に最多となる.サンバーンセル生成数はUV照射量に相関することから、UVによる表皮損傷の程度を定量化できる指標として考えられている.紫外線が皮膚に照射されるときは、皮表から同じ深さに位置する細胞には同量の紫外線が照射されるにもかかわらず、それらすべての細胞がサンバーンセルとなるわけではなく、隣接するケラチノサイトは形態的変化を認めない場合が多い.また、サンバーンセル生成は細胞周期を抑制すると減少することから、細胞周期により紫外線に対するケラチノサイトの感受性が異なると考えられている.これらのことから、サンバーンセルはケラチノサイトがネクローシスにより細胞死を起こしたのではなく、UVによって修復困難な状態に陥った細胞にアポトーシスが誘導されたものと考えられる.種々の抗酸化物質を添加してサンバーンセル形成を抑制したという報告、たとえばUVB照射直前のアスコルビン酸(ビタミンC)経皮投与による例、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの活性酸素消去剤をin vitroで作用させた組織片や実験動物に静脈注射した後in vivoで紫外線照射した例などから、サンバーンセルの形成には紫外線により皮膚で発生する活性酸素の関与が示唆されている.ほかにも、システインを多く含み活性酸素除去能のあるメタロチオネインを皮膚内に誘導することにより防御できるという報告がある.しかしこれらとは逆にSODを紫外線照射前に投与しておくとサンバーンセルの形成が増加したという報告などもある.サンバーンセル形成について、生体における意義はいまだ明らかにはなっていないが、いまのところ回復不能となったケラチノサイトの排除を目的としていると考えられる.したがって、サンバーンセルの形成の引き金となる傷害を防御するなど、ケラチノサイトに与えられる損傷自体を防御した結果としてサンバーンセル形成を抑制するものでなければならない.(畑尾正人)

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