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刺激性接触皮膚炎 [primary irritant contact dermatitis]
化学物質などが皮膚に接触して起こる皮膚の炎症反応.アレルギー性接触皮膚炎とは異なり、免疫応答に基づかないため初回の接触でも皮膚反応が誘発される.
発症機序
角層を通過した刺激物質がケラチノサイト(表皮角化細胞)に作用してインターロイキン(IL)-1α、腫瘍壊死因子(TNF)-α、ケモカインであるIL-8などの産生が起こり、これらのサイトカイン、ケモカインが皮膚局所に刺激性接触皮膚炎を発症させる.
原因物質
洗剤、日常生活用品に含まれる化学物質、食品、植物、衣類の繊維などが刺激となる場合がある.
症状
刺激物質が接触した部位に、かゆみ、紅斑、落屑*(らくせつ)、丘疹などが現れる.強い反応では、表皮上層の壊死、表皮細胞間浮腫、真皮上層の浮腫(むくみ)と真皮上層リンパ球、多形核白血球の浸潤が観察される.治療には、その原因を特定して接触しないようにすることがもっとも重要とされ、また抗炎症作用のある薬剤などを塗布する場合もある.(足利太可雄、市川秀之)