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白髪(しらが) [gray hair]
おもに加齢に伴って現れる毛髪の灰白化のこと.毛髪に含まれるメラニン色素が減ったり、なくなったりすることによって、毛幹の色調が弱まった病態を白毛症とよぶが、白髪は汎発性白毛症に分類される.汎発性白毛症の大部分は白髪であるが、若白髪あるいは病的機序によって汎発性、び漫性の色素減弱をきたす症状も含まれる.
発生メカニズム
白髪の発生メカニズムとして、毛母におけるメラノサイトの減少と残存、メラノサイトにおけるメラニン産生能の低下、すなわちチロシナーゼ活性の低下が考えられる.白髪の毛母ではメラノサイトは減少、欠如または不活性の状態にあり、ドーパ反応は陰性である.白髪では1本の毛幹に沿って、徐々に黒色から白色となることはまれで急激に変化する.したがって、白髪の前段階として色素沈着が見られなくなるが、これは毛周期(ヘアサイクル)の退行期、休止期または早期成長期にメラニン合成の開始に先立って、個々の毛包において、メラノサイトの減少、消失が突然発生することによって生じると考えられている.
ケア
加齢による白髪のケアには、染毛製品を用いる.その使用については毛髪へのダメージを考慮すべきである.
白髪と染毛製品
白髪を染めて、黒髪あるいは色をつけるさい用いられるのが染毛製品である.染毛製品のうち染毛剤は、その染毛効果の特徴から一時染毛料、半永久染毛料(酸性染毛料)と永久染毛剤(酸化染毛剤)に大別できる.一時染毛剤は、毛髪のキューティクル(毛小皮)最外層表面に着色料を付着あるいは吸着させて物理的に着色するもので、1回の洗髪でその染毛効果を失うが、安全面に不安がなく手軽に使用できる.酸性染毛料は、1回の使用により染毛されるような染毛剤は使用前後で効果がはっきりしすぎて嫌われる場合があるため、数回の使用により少しずつ染毛できるような染毛効果を調整したものである.一方、酸化染毛剤は毛髪の毛皮質(コルテックス)内部で染料を化学反応させて化学的に着色するため、洗髪で染毛効果はほとんど失われない.その分、使用が煩雑で、皮膚への安全性や毛髪損傷*が懸念されるが、発色性、堅ろう度などの染毛機能が高く、染毛剤の主流となっている.(濵田和人)