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スケーリング [scaling]
肌荒れなどにおいて、角層が塊となってはがれていく肌状態のこと.その塊を鱗屑(りんせつ)、角片という.健康な皮膚においては、角層細胞が個々に角層から剥離するため、それを肉眼で見たり気づいたりすることはない.しかし、肌荒れや角化異常などの皮膚疾患においては、角層細胞が塊となって剥離し一部は皮膚表面にはがれかかった状態で残っているため、肉眼でも形態的に認められるようになる.はがれかかった角層(鱗屑)にはさまざまな形態のものがあるが、概してわずかの水分しか含まれずに皮膚表面から浮き上がった状態になり、白く目立つばかりではなく、肌触りもよくない.スケーリングの発生要因はさまざまであるが、大きく分けて、ケラチノサイト(表皮角化細胞)の増殖が盛んになる場合と、逆に増殖が低下する場合が考えられる.たとえば、さまざまな皮膚炎などにおいては、ケラチノサイトは刺激を受けて増殖が盛んになり、角化が十分に進行しない状態(不全角化)になって発生する.一方、老人性乾皮症などにおいては、ケラチノサイトの増殖は低下するが、角層水分量の低下によって角層剥離のメカニズムが阻害されるため、落屑*(らくせつ)がスムースに進行しなくなりスケーリングが発生する.(平尾哲二)