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スティンギング試験 [stinging test]
化粧品や洗浄料を使用したさいに生じるひりつき、かゆみ、ほてりといった感覚刺激を評価する方法で、感覚刺激試験ともいう.第三者が客観的な評価を行うことができないこうした主観的な刺激を、従来のパッチテストや動物試験で評価することは困難であるため開発された.一般には、温度・湿度が管理された室内で、被験者を洗顔させた後、被験物質を頬や鼻唇部に塗布し、一定時間後に感覚的な刺激の強さを自己申告してもらうというものである.ただし被験者の感覚刺激感受性、塗布部位、塗布方法などにより結果が異なる場合があるので注意が必要である.被験者には、乳酸などの代表的感覚刺激物質による試験で感受性が高いと評価された人を用いる場合が多いが、ある物質に対する感受性が高くてもほかの物質でもそうであるとはかぎらない.顔面でも部位によって感受性が異なることはよく知られており、鼻唇部がもっとも高いとされている.また、綿棒などで塗布するよりも、不織布などに染み込ませて適用するほうが感度が向上するという報告もある.さらに評価はあくまで主観的なものなので、とくに初めての人には評価の仕方がわかりにくいという指摘もある.こうした課題に対しては、刺激の程度を表す“かすかに”や“非常に強い”といった言葉をあらかじめ数値化したカテゴリー評定尺度図を用いて検査結果の精度を向上させようという試みも行われている.(足利太可雄)