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ストレスと皮膚 [stress and skin condition]

心理的ストレスが負荷された場合には、自律神経系、内分泌系、免疫系に作用して生体に影響が現れるが、“ストレスは美容の大敵”“皮膚は心の鏡”といわれるように、皮膚もストレスの影響を受けやすい器官である.ストレスにより皮脂腺の脂質合成能が影響を受けること、ケラチノサイトの増殖活性が低下すること、バリア機能の回復が遅延すること、ランゲルハンス細胞の機能が変化することなどが科学的に実証されている.なかでも敏感肌、不安定肌はストレスの影響を受けやすく、角層のバリア機能や水分量が低下し肌状態が悪化しやすい.とくに敏感肌(センシティブスキン)は、アレルギー性物質や刺激物質などの特定物質に対して体質的に敏感になっている体質的敏感肌、および環境変化や刺激などの外部環境や体調・食生活などの影響で、一時的に敏感になっている一時的敏感肌があり、角層バリア機能の低下、刺激閾値(いきち)の低下、乾燥などによって起こるとされている.現代社会において、敏感肌は年々増加しているといわれており、ストレスの増大もまた敏感肌の大きな要因と考えられている.意識調査によると敏感肌女性は精神的なストレスにより肌状態が悪化し、その肌の悪化が精神的ストレスを助長すると考えている.実際、それら敏感肌女性においてはストレス状態と角層水分量に相関がみられ、敏感肌ではストレスが角層水分量を低下させることが実験的にも確かめられている.さらには、人為的に破壊された皮膚バリア機能の回復はストレスを負荷すれば遅延すると報告されており、このことからもストレスが、環境や体調による変動が大きい敏感肌に大きな影響を及ぼしていることが明らかである.(市川秀之、柴谷順一)

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