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全身系 [systemic system]

生体もしくはからだの働きを考えるさい、構成要素ごとではなく、生体全体を総合的に扱おうという考え、およびその考えに基づいて扱う対象をさしていう.構成要素はどれも生体もしくはからだの一部であり、全体から切り離して考えることはできないという論に由来する.
ヒトのからだは約60兆個の細胞から構成されている.同じ種類の細胞が集まり、別の種類の細胞との組み合わせで組織を構成することによって、個々の細胞は、生体機能の基本となっている.組織には、上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織があり、これらの組み合わせによって器官が構成されている.器官はそれ単独で機能を営む一方、いくつかの器官が集まって器官系を形成し、協調して働くことによって、生体維持に寄与する.器官系には、骨格系、循環系、呼吸系、消化器系、排泄系、内分泌系、生殖系、神経系、筋肉系、感覚系、外皮系などがあり、これらが協調的に働いて、全身系のホメオスタシスが維持される.これは、時々刻々と変化する生体の内外環境の変化は求心情報として中枢神経系に伝達され、統合され、自律神経系内分泌系、免疫系、運動系などを通じて各器官系が適切に機能することによる.皮膚の機能についても、皮膚の局所的機能の理解とともに、全身系との関連で皮膚機能を考えることが大切である.たとえば、健康を損なった状態では、当然、皮膚機能にも変調が現れる.また、精神的なストレスが、健康な皮膚の機能に対し種々の影響を及ぼすことが明らかになってきている.これらは、全身系と皮膚機能のつながりによるものである.スキンケアを考えるにあたっても、全身系を背景にした皮膚機能への効果を考えることが重要である.(土屋徹)

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