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デスモソーム [desmosome]
ケラチノサイト(表皮角化細胞)などの間に形成される直径0.2〜1.5 mmの細胞間接着装置(図).デスモグレインやデスモコリンなど複数のタンパク質の複合体で構成されている.接着斑ともいう.デスモソームはケラチノサイトの細胞膜を貫通して構成され、細胞の外側にはデスモグレインやデスモコリンの接着部位が突出している.これらのタンパク質はカルシウム依存性にホモダイマー(二量体)を形成する性質があり、隣接するほかの細胞のデスモソーム構成タンパク質と相互作用している.また、細胞の内側部分のデスモソームでは、ケラチン線維などが結合している.ケラチノサイトの細胞間だけでなく、表皮のターンオーバーに従って移行した角層細胞間にもデスモソームは引きつづき残って、細胞どうしの接着に寄与している.角層内のデスモソームをとくにコーネオデスモソームとよぶ場合もある.角層の表層に至る過程で、デスモソームを構成するタンパク質はプロテアーゼによる分解を受け、徐々に消化される.この消失による角層細胞の接着力の低下が、健康な皮膚における落屑*(らくせつ)にかかわっている.また、デスモソームの分解の阻害はスケーリング発生の一因であると考えられている.(平尾哲二)