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美容 [cosmetology]

心豊かな充実した生活を送るために、肌がもつ若々しくあろうとする力や、その人の内面的な魅力を最大限引き出してあげること.これを実践することがスキンケア、メークアップ*であり、道具としてさまざまな用途に応じた化粧品が用意されている.これらを上手に活用するためには正しい知識が必要で、毎日ケアを行っていく努力と意志が必要とされる.美容を行うにあたり肌を若々しく保つ、容貌を美しく整える、心身を健やかに保つ、という三つの視点が重要である.
肌を若々しく保つ
スキンケアで重要なことは自分の肌の状態を的確に知り、それに合った方法で手入れをすることである.人はそれぞれ顔や性格が異なるように、肌の性質(肌質)に違いがある.肌質には水分と脂分の量によって、脂性肌乾燥肌普通肌、脂性乾燥肌の四つに大別される.さらにそれぞれの肌質においても、人によってあぶらっぽくなる部位と乾燥しやすい部位が異なってくる.このような遺伝的な肌の性質に加え、温度や湿度、性周期、季節、年齢によっても肌の状態は日々変化する.部位ごとの肌状態を毎日鏡などでチェックした上で、そのときどきの状態や変化に応じたスキンケアをすることが肝要である.スキンケアのステップは洗顔、整肌、保護が基本であり、マッサージやパックなどの賦活、美容液による悩み改善ケアを必要に応じてそれに加えていく.1日が終わったときの肌の上には古くなった角層、皮脂や汗、埃(ほこり)、さらにはメークアップ料がのっており、そのままにしておくと肌の機能を阻害し、肌荒れや吹き出物の原因となるため洗い流す必要がある.油性の汚れはクレンジングクリームで、水性の汚れは石けんでというダブル洗顔で落とすことが効果的で、あぶらっぽい部位は念入りに、乾燥しやすい部位は刺激にならないよう軽く洗顔するとよい.洗顔の後の肌は、皮脂や角層の保湿成分の一部が洗い流されて乾燥状態になっており、洗顔後のつっぱり感はこの状態によるものである.これらは時間をかけて回復していくが、肌質や部位によって回復が遅いとますます乾燥し、さらにそれが刺激となって角化のリズムを崩すことになる.このため、洗顔後は化粧水や乳液によって失われた水分や油分を補給すること、また乾燥しやすい部位には、クリームによって保護膜をつくり、水分の蒸散を防ぐことで回復を補う必要がある.肌の汚れを落とし肌にうるおいを与えて保護することにより肌の機能を正常に保つようにすることがスキンケアの重要な役割であり、毎日怠りなく行うことで若々しい肌が保てるのである.
容貌を美しく整える
メークアップは錯視効果を利用した印象操作であり、自分自身を演出する有効な手段といえる.人の容貌からくる印象は実際の内面と一致するとはかぎらない.対人関係をスムーズに進めることにおいて、その人のもつ魅力を引き出すようなメークアップを施すことにより効果を発揮する.また、メークアップは他者からの評価だけでなく自己の評価も変えることができる.事実、実験によるとメークアップすることにより対人積極性が向上することが確かめられている.外見が魅力的になったと感じることで自己イメージが向上し、自信につながったものと考えられる.メークアップは、上手に活用することにより人生を成功に導く武器となりうるのである.
心身を健やかに保つ
若々しく魅力的でありつづけるためには、外側からだけでなく内側からも心やからだをケアしていく必要がある.肌を内側から老化させる要因として第一にストレスがあげられる.適度なストレスは生活に刺激と変化を与えるが、過度のストレスは心身に悪影響を及ぼす.とくに肌に対しては血行不良、新陳代謝の低下、皮脂分泌異常などを引き起こし、肌荒れ、くすみ、にきびなどの原因となる.また、ストレスによる頭痛、肩こり、冷えなどの不快な症状によって表情も曇りがちとなり魅力も半減してしまう.現代社会においてストレスから逃れることは不可能であり、上手にストレスとつき合っていかなければならない.そのため、ストレス緩和効果のあるアロマコロジー的な手法やエステティックなどを日常生活に取り入れるなど、自分なりのストレス解消法をもつことが求められる.生活習慣の中で肌の状態に影響するのが、食事と睡眠である.現代は飽食の時代といわれるように好きなものを好きなだけ食べることができ、外食に頼った食生活や無理なダイエットによって栄養が偏りやすい.ビタミンやミネラルの不足はにきび、肌荒れなどの原因となることはよく知られている.バランスを考えた食事を心がけ、ときにはサプリメントによって栄養を補っていくことが必要となる.また、肌は夜つくられるというように睡眠中に昼間肌に受けたさまざまなダメージの修復が行われており、規則正しい睡眠によってこの修復機能が正常に働くようになっている.睡眠不足によって生体のリズムが乱れるとダメージの修復がうまく機能しなくなり、肌の機能が低下してしまう.若々しい肌を保つためにも正しい生活習慣を心がける必要がある.(奥田剛弘)

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