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粉体高分子 [polymer powder]
製品の剤型保持や使用感触向上の機能を有する粉状の高分子.粉末高分子ともいう.粘土鉱物などの巨大分子を中心とする天然無機高分子のマイカ、タルク、カオリンなどと、重合反応で得られる合成有機高分子のポリエチレン粉末、ナイロンパウダー、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層粉末(→ラメ剤)などがある.また、最近では天然有機高分子のシルクパウダーや合成無機高分子の二酸化ケイ素(シリカ)なども用いられている.さらに、デンプンやベントナイトなどの、水と作用してゲル化する性質をもつものが粉体として使用される場合もある(表).初期には、たんに粉砕処理などにより得られる不定形の粒子が用いられていたが、重合技術の進歩により球状粒子の製造が可能となったために用途が広がり、パウダー類や、粘結剤、賦形剤、充填剤などとして、メークアップ化粧品などに広く配合されるようになった.また、積層化技術により積層構造をもつ板状粒子が開発され、屈折率の差から美しい干渉色の現れる粉体も得られている.今後も技術の進歩により、合成高分子粉体の特徴を生かした種々の新しい粉体の開発可能性が予想される.なお、ナイロンパウダーやポリエチレン粉末などの合成高分子粉体の使用にあたっては、溶解、膨潤などの起こらない耐溶剤性や、残存モノマー量、薬剤などの成分吸着性などを十分に確認する必要がある.(小出倫正)