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ポリフェノール [polyphenol]
芳香族炭化水素の2個以上の水素がヒドロキシル基に置換された化合物の総称.植物に多く含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用など種々の生理活性を有している.抗酸化作用ポリフェノールは植物の中に多く存在し、お茶に含まれるカテキン類、大豆に含まれるイソフラボン類、植物色素であるアントシアニン類などがある.これらは、生体成分の酸化を引き起こし、老化や種々の疾病の要因になっている.活性酸素(→フリーラジカル)を消去する抗酸化作用を有している.活性酸素には、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素などがあるが、これらの中で、ヒドロキシルラジカルがもっとも酸化力が強く、生体に与える障害が大きい.ポリフェノールには、過酸化脂質の生成を抑制したり、ヒドロキシルラジカルを消去する抗酸化作用があり、このような抗酸化作用により、ポリフェノールには種々の疾病に対する予防効果があるとされる.具体的には、お茶に含まれるカテキン類にはがん予防作用、ワインに含まれるポリフェノールには動脈硬化予防作用がある.なお、化粧品には、茶エキス、ブドウエキスなどポリフェノールを含む植物抽出物が配合される.これらの植物エキスには、紫外線に当たることにより皮膚内で発生し、皮膚の老化を早める活性酸素を消去する作用がある.
抗炎症作用
紫外線により皮膚内で発生する活性酸素は皮膚の炎症を引き起こし、その炎症が皮膚の障害や老化の要因になっているが、お茶に含まれるカテキン類はこの炎症を抑制することが知られている.たとえば、カテキンの一種であるエピガロカテキン-3-ガレートを皮膚に塗布すると、紫外線による炎症の兆候である皮膚の紅斑や、皮膚内での白血球の浸潤が抑制される.このほか、カテキン類にはじんま疹などの即時型アレルギーの原因になるマスト細胞からのヒスタミン遊離をおさえる作用や、遅延型アレルギー性皮膚炎を抑制する作用がある.(岩崎敬治)