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ローズ油 [rose oil]
ダマスクローズ(Rosa Damascena Mill)の花びらから水蒸気蒸留法で得られる精油.おもな産地はブルガリアで、1750年ごろから栽培がはじめられたと伝えられている.1 kgのローズ油を得るためには約3,000 kgの花が必要で、非常に高価である.ローズ油には約20〜25%の割合で無臭のステアロプテン(ろう成分)が存在し、それが21℃以下で結晶するので、その温度以下では懸濁状態になる.香気のおもな成分は、このステアロプテンを除いた残りの75%の液体部分に集中して存在するシトロネロール、ゲラニオール、ネロールなどであり、ローズアブソリュートとは組成を異にする.また、ローズ油特有の華やかな香りはβ-ダマセノンやローズオキシドなどの微量成分による.ローズアブソリュートやジャスミンアブソリュートと同様に、ローズ油はフローラル調には欠かせない香料素材であり、その高価格にもかかわらず広く調合香料中に使用され、数々の香水に美しいトップノートを添えている.(大森祥弘)