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血行不良 [poor blood circulation]
皮膚の局所的な状態の不順（加齢変化、肌荒れ、一過性のほてりなど）や体調不順（ストレスや睡眠不足など）により、血液の流れ（血行）が悪くなること．皮膚には微小循環とよばれる網目状の毛細血管が発達しており、表皮や真皮に栄養や酸素などを補給したり、体温調節の役目を担ったりしている．この微小循環の血液の流れが皮膚表面に反映されているのである．また、皮膚の一部であるが、毛髪の毛包領域の血行は毛の生育に必要な要因の一つである．
皮膚の血行不良
皮膚の血管構築は複雑で、真皮内の血管の深さによって血行が異なってくることもある．血行はレーザー血流計で測定できるが、そのプローブを工夫することにより皮膚の深さ別に測定することが可能となる．そこからたとえば、皮膚の表面に近い浅い層の毛細血管の減少による血行不良が加齢や更年期以降のくすみを引き起こす原因の一つであると考えられる．肌荒れの場合も、より深部の血行が不良になって起こるとの報告がある．目のまわりにできるくまも血行不良に起因し、目のまわりを冷やしたり、暖めたりを繰り返すことで血行不良が改善するとくまも薄くなり、また消える．また、皮膚表層や中層の毛細血管網は神経支配を受けていないが、皮膚深部の動静脈吻合（動脈血を静脈へと短絡させるバイパス）は神経支配を受けているので、ストレスなどで血行不良になる．一方、暑さや寒い所から暖かい所に入ったときに感じるほてりは、血行が増大してのことだが、これは表層の毛細血管網の増大と深層の血管拡張によるものと考えられている．
頭皮の血行不良
毛包周囲や毛乳頭組織には毛細血管が張り巡らされており、血行は毛の成長に重要な役割を果たしている．加齢に伴う血行不良、頭皮のつっぱりによる局所血行障害、ストレスによる血行不良など毛成長を抑制・阻害する．血行促進剤血行を促進する血行促進剤としては、ビタミンEおよびその誘導体、γ-オリザノール、セファランチン、センブリエキスなどがある．（西山敏夫）