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けん化 [saponification]
アルカリによる油脂脂肪酸エステルの加水分解を意味する.石けんの製造方法の一つであるけん化・塩析法では、動植物油脂を水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリを使ってけん化が行われ、高級脂肪酸のアルカリ塩である石けんとグリセリンが得られる.その後石けんは塩析によってグリセリンと食塩を含む水(排液)と分離される.アルカリ水溶液と油脂とは互いに混ざり合わないため、けん化という化学反応の速度は、油と水の界面の面積に大きく左右される.脂肪酸エステルのけん化法では、少量のNaOHを触媒として、油脂とメタノールを約60℃で反応させて脂肪酸のメチルエステルをつくり、グリセリンを分離する.得られた脂肪酸メチルは、NaOHでけん化して石けんを製造し、同時に遊離するメタノールは回収の後に精製して再利用する.(松井正)