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モイスチャーバランス [moisture balance]
水分、天然保湿因子（NMF）、脂質のバランスのこと．生体由来成分である水分、NMF、脂質に相当する物質を化粧品（水分、保湿剤、油分）によって補うことにより生物学的変化を伴う皮膚保湿の恒常性を維持するという考え方である．皮膚上の水-NMF-皮表脂質のバランス維持による皮膚保湿機能の適正化のためには、この3成分に相当する精製水-保湿剤-油分の複合系によるスキンケアが有効であることが実証されており、このスキンケアの考え方をモイスチャーバランス理論とよぶ．こうした考えに基づくスキンケアは、皮膚上のモイスチャーバランスを正常化し、角化過程を正常化させ、皮膚表面の性状や角層機能を回復させ、肌トラブルの改善と防止に有用であることが明らかとなっている．この理論に基づき、スキンケア化粧品は、使用性や安全性の観点はもとより、年齢や季節による皮膚機能変化を考慮し、科学的に有用であることが証明されたヒアルロン酸やアミノ酸などの保湿剤やエモリエント効果の高いスクワラン、セラミド、コレステロール誘導体、エステル油などの油分がバランスよく選択、処方されており、皮膚機能を高めるのに役立っている．より高機能の保湿剤や油分の開発が、スキンケア化粧品設計に大きく寄与している．（土屋徹）