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容器の成形方法 [molding methods of container]
無形の素材を一定の形状にする工程を一般に成形と称している.化粧品容器はプラスチック、金属、ガラスなどの素材でできているが、これらの素材を化粧品それぞれに適した形状(たとえばクリームを入れる広口ジャー容器、エアゾール用の缶、香水を入れる瓶など)に加工する必要がある.そのためには種々の方法があり、使用する素材の特性(熱可塑性、熱硬化性、延性、展性など)、得たい形状(ボトル状、筒状など)、生産性(ロットサイズ、経済性など)を考慮した上で選定される.化粧品容器の素材の中でもっとも多く使用されているプラスチックには、さまざまな特性のものがあり、また種々の形状に加工されることから多くの成形方法が使用されている.熱可塑性樹脂は加熱すると溶融し、冷却すると固化するという性質がある.この特性を利用した成形方法として射出成形、ブロー成形、押出成形などがあげられる.射出成形はキャップ、コンパクト容器の部品などに、ブロー成形はおもに細口ボトル容器に、押出成形はチューブ、シートなどの成形に使用されている.また、熱硬化性樹脂はその粉体を加熱圧縮すると反応し結合固化する性質がある.この特性を利用した成形法として圧縮成形がある.しかし、この方法により得られた成形物は耐熱性が高いという特徴があるが、生産性が悪いため現在では化粧品容器にはあまり用いられていない.熱可塑性樹脂をいったんシート状に成形したものをさらに加熱軟化させ金型に密着させてから冷却成形する方法もあり、真空成形、圧空成形、熱プレス成形がそれにあたる.いずれの方法も薄肉の成形品を得るのに適した方法であり、真空成形は量産性がよく、圧空成形は深絞り形状に適し、熱プレス成形は形状安定性がよいといった特徴がある.小型の簡易容器やセット品の中仕切りなどの成形に使用されている.金属の成形は展性や延性を利用した成形方法が用いられている.なお、ガラスの成形方法は溶融した素材が冷却固化する性質を利用した成形方法が用いられている.(佐藤達夫)