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美白 [whitening]
メラニン色素の生成をおさえ、しみ・そばかすを防ぐこと.その効果をもたらす成分を美白剤、それを配合した医薬部外品(薬用化粧品)を美白化粧品とよぶ場合が多い.一般には“メラニン色素の増加した部位に作用し、緩和にメラニン色素の生成をおさえ、もって生まれた肌色に近づけてくれる安全な外用剤”を美白剤とよんでいる.“色の白いは七難隠す”といわれるように白い肌が美肌の典型であるとされてきたことから、美白という言葉がよく用いられているが、決して肌色より白くする漂白作用をもつものではない.メラニン色素は、メラノサイトという細胞内でチロシナーゼという酵素からつくられ、皮膚の色を決定している.また、しみ・そばかすは、このメラニン色素が皮膚の局所で増加し、沈着したために生じる.しみ・そばかすをすぐに消せる薬はまだないが、アルブチンやコウジ酸などの美白剤を配合した美白化粧品を用いることにより、増えたり濃くなったりすることを防ぐことは可能である.それには毎日使用しつづける必要がある.また、しみ・そばかすの大敵となる紫外線をなるべく浴びないように注意を払い、屋外に出るときには紫外線防止効果のある日焼け止め化粧品をかならず使用することが大切である.皮膚の新陳代謝機能は加齢により低下し、過剰にメラニン色素を含む角層細胞が長く表皮にとどまるが、角層剥離(→角化)作用のある化粧品やマッサージ、パックによる手入れはメラニン色素の排泄を促進する働きをもつ.妊娠時にできるしみは、女性ホルモンの一つである黄体ホルモンの分泌の上昇や、卵胞ホルモンとのバランスがくずれ、一時的にメラニン色素の生成が高まってしまうのが原因で、出産後、ホルモンのバランスが戻ると自然に消失していくことが多い.経口避妊薬を服用しつづけるとしみが増えたり濃くなるのも、女性ホルモンの影響である.また、メラノサイトは神経系とも密接なつながりがあるので、不安やイライラなどの精神的ストレスがつづくとしみができやすいほか、フェイスブラシやナイロン製のたわしなどで過度に皮膚をこすったり、あわない化粧品や合成繊維の下着などを使いつづけると軽い皮膚炎が起き、しみができたり濃くなったりする場合もある.日ごろから皮膚に刺激を与えないように心がけることが大切である(図).(前田憲寿)