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エマルション [emulsion]
乳化物のこと.油と水のように互いに溶け合わない液体の一方が、他の一方に微細な液滴(乳化粒子)として分散しているものである.牛乳や生クリーム、化粧品のクリームや乳液などがある.エマルションを光学顕微鏡で拡大(200〜400倍程度)して観察すると、微細な乳化粒子が分散しているようすが見られる(図).通常、乳化粒子の大きさは0.1〜100 mmぐらいである.微細な乳化粒子はコロイド粒子であるため、水で希釈して観察をするとブラウン運動で絶えず不規則に動いている.エマルションには、油滴が水に分散した水中油(o/w)型と水滴が油に分散した油中水(w/o)型がある.乳化滴(粒子)の部分を分散相、乳化粒子が分散している外側の部分を連続相といい、エマルションの性質は、連続相の性質が強く表れる.o/w型エマルションは連続相が水であるため、水に溶解する.牛乳がその例である.一方、w/o型エマルションは連続相が油であるため、水には溶けない.バターがその例である.どちらも白く濁っているが、それは水と油との屈折率が異なるため、光が界面で散乱されてしまうからである.しかし、乳化粒子径が、光の波長より十分小さくなるとエマルションは半透明から透明となる.また、水中にグリセリンのような溶剤を加えて油との屈折率を近づけると、通常の大きさのエマルションでも透明となる.エマルションのように分散状態にあるものは、界面の面積が大きくなっており、界面張力(界面自由エネルギー)が高い状態にあるため、水と油を接触させてもエマルションが自然にできることはない.かくはん(かき混ぜる)など、外から機械的なエネルギーを加える必要がある.これを乳化というが、たんにかき混ぜただけではすぐに分離してしまう.表面張力(表面自由エネルギー)を下げる必要があり、乳化剤(乳化に用いる界面活性剤)を用いることによってそれが可能になる.(鈴木敏幸)