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アルデヒドフローラル調 [aldehyde floral tone]
フローラルノート*に比較的多量の脂肪族アルデヒドをブレンドした香り.その高級感、華やかさから近代的な香水の幕開けとなった香調である.代表は“シャネルN°5”(シャネル社).モダンフローラル調ともいう.トップノートにはベルガモット油、レモン油、ミドルノートには、イランイラン油、ローズ、ミューゲ(スズラン)、ジャスミン、などのフローラル、ベースノートにはベチバー油やサンダルウッド油、メチルヨノンなどのウッディノート、ムスクノート、アンバーノートが用いられ、さらにバニリン、クマリン、ヘリオトロピンが用いられている.そして、固有の香りも強く拡散力があるアルデヒド(脂肪族系アルデヒドC9〜C12)が加わり、調合香料に驚くべき発散力を与える.このアルデヒドの働きは、“シャネルN°5”を創作する過程で、調香師アーネスト・ボーによって発見されたことによって、アルデヒドが配合されるそれまでの香水づくりにはない革新的な香りが実現された.“シャネルN°5”は1921年の発売以来、世界香水のベストファイブの座を維持しつづけている.なお、そのほかにこの香調の代表的な作品として“アルページュ”(ランバン社)があげられる.そして、このアルデヒドフローラル調は香水以外にも、クリーム、ファンデーションなどの化粧品や石けん、ボディシャンプーなどの幅広い製品に応用されている.(松田美智子)